To Be a Good Company

世界で活躍する日本企業の
いざをお守りする。

5年目

安田 涼子 Ryoko Yasuda

  • 損害サービス部門
  • 2017年入社
  • 経済学部卒
  • #グローバルコース
  • #4〜7年目
  • #損害サービス
  • #グローバルな仕事
  • 2017年
    入社 コマーシャル損害部
    海外賠責・航空グループ配属
  • 2020年
    コマーシャル損害部 国際賠責・航空グループ

※年次・仕事内容は取材時のものです。

海外へ進出する日本メーカー。高い技術力を誇る日本の製造業を損害保険で支えるのがコマーシャル損害部での仕事の一つである。海外で事故が発生すれば迅速に戦略を立案し、解決へと導いていく。世界中を相手にする仕事だけに、高度な専門性、語学力、そしてプロフェッショナルな精神が要求される。

過度な損害賠償リスクからお守りし、日本企業の海外展開をサポート。
活躍の場が世界に広がるやりがいのある仕事。

コマーシャル損害部は、企業向けの損害保険において主に海外で発生した事故を扱う部署です。船舶・貨物・財産保険の他に、私の所属する国際賠責航空グループでは賠償責任や航空の保険を扱っており、その中でも私は海外PL保険(生産物賠償責任保険)に関する業務を担当しています。海外PL保険とは、クライアントの製品によって、海外で人がケガをしたり物が壊れてしまったような場合に発生する賠償責任を補償するもので、世界中のリスクをカバーしています。私はご契約いただいた海外PL保険で実際に事故が発生した際の対応を担っています。具体的には世界各国でクライアントが賠償請求を受けた際に、当社のネットワークを活かして有能な海外の弁護士/クレームエージェントの起用をし、クライアントと方針をすり合わせながら一体となって防御活動を行っていくというものになります。現在、約20社の企業を担当しており、120件ほどの事案を抱えています。海外すべての国を対象としていますが、受け付ける事案ではアメリカでの賠償請求事案が約90%を占めています。これにはアメリカの文化や裁判制度などが大きく関係しており、日本では考えにくいことですが、例えば車同士が衝突し、事故の際に運転手が重度な怪我をしてしまった場合、相手運転手に賠償請求するだけではなく、乗っていた車の設計に問題があったとして日本の自動車メーカーに対しても賠償請求がなされるようなことがあります。訴訟になるとアメリカでは被害者救済の観点から、金銭的余力があるメーカーは賠償に応じるべきだと見なされやすい背景や、陪審員制度を採用していることからも被害者寄りの判決が下されやすいといったことがあります。

こういった日本メーカーが不要に訴訟に巻き込まれることや、不当に高額な賠償請求を受ける中で、いかに合理的な解決へと導けるかが当グループの腕の見せ所になってきます。事故対応の流れとしては、事故の連絡を受けたら、まずはクライアントに代わって当社の海外現法や現地の弁護士・クレームエージェントに連絡し、適任な代理人を起用。クライアントから製品の情報を収集したり、解決への意向を確認しながら、私たちが国を跨いだ関係者とコミュニケーションをとります。訴訟の進行や相手との交渉状況についてクライアントに日々報告をしつつ、その中で海外での訴訟に慣れていないクライアントに対しては訴訟の流れや仕組みなど事情をご説明したりもしています。これまでに、数百億円の請求をされたこともありました。裁判で敗訴してしまうと、クライアントのブランドイメージの低下など大きなダメージを受けてしまいますので、訴訟対応は常に緊張が伴います。重大な任務に従事していることを日々実感しています。
この仕事は、保険の専門知識だけでなく、諸外国の事情や法律知識、語学が求められます。私はアメリカの大学で経済学を学びました。在学中に、日本メーカーの製品が海外で広く使われているのを見て、とても誇らしく思っており、将来はそういった日本の素晴らしさをより多くの海外の人に知ってもらえるよう後押しできる仕事に就きたいと考えていました。そしてグローバルな舞台で活躍をしている東京海上日動を選びましたが、まさにそんな仕事に携わることができています。

求められるのは迅速な判断力と的確な戦略立案。
自己成長を実感できた時が何よりもうれしい。

入社して5年経ち、海外PLに携わって以来最も緊張感が高まる瞬間がありました。アメリカであるメーカーの製品の使用者が重度な怪我をしたということで、クライアントに対して訴訟提起してきました。使用者が使い方を間違えたために発生した事故にもかかわらず、原告側は製品に欠陥があったという主張を崩しません。アメリカでは訴訟が提起されてから証拠開示をし合うフェーズがあり、そこから判明する情報をもとに和解交渉などをしていくケースが多いですが、この件においては両者とも一歩も引かず、トライアルという最終審理に突入しました。この審理で互いの主張や証拠を披露し、最終的に陪審員によって勝訴敗訴が決められるというものです。私にとってはこれが初めてのトライアル案件でした。トライアルは約2~3週間にわたって実施されるものの、1つの証拠や発言で形勢が大きく変わることがあるため、この期間は毎日早朝から弁護士と当社、当社とクライアント、3社合同、そして当社内など数多くの打ち合わせを行い、戦略や方針について議論を行っていました。

難しいのは容易に相手方の要求する金額で和解をすると後追い訴訟を誘発する可能性があること、一方で和解ができず、仮に陪審員が原告寄りの見方をして敗訴となった場合に、クライアントに今後ネガティブな影響が及んでしまうリスクがあるということです。クライアントの大事なブランドイメージや将来へのリスク、また金額も高額であることからとても緊張感の続く日々でしたが、関係者との綿密な連携の上でかなった的確な判断により、クライアントもご納得された合理的な金額での和解が成立しました。現状をスピーディーに判断して的確な対応を行うこと。その重要性を痛感しました。
世界中で発生する事故の解決に邁進する日々ですが、グローバルな舞台で日本企業の海外展開をサポートしているという実感がわいてきます。緊張感の中で各関係者と連携しながら戦略を考え、上司やメンバーに相談し、全力で取り組む。思い通りにいかないこともたくさんありますが、試行錯誤し続けてきた中で、以前より解決までのシナリオが早く立てられるようになったり、知識や経験をもとに付加価値提供が以前よりもできたとふと思える瞬間があります。周りに支えられながらもそんな自己成長を実感できた時は、素直にうれしいです。そして、クライアントからいただく「大変助かりました」という感謝の言葉が、この仕事における大きな励みとなっています。

将来の社会を見据え自動運転の対応策も。
周囲のサポートも万全で、働きやすい環境。

私たちの仕事は、全世界を相手にしていますので、刻一刻と変わりゆく世界情勢においても敏感である必要があります。私のグループでは、自動車メーカーのPLリスクも扱っていますが、いま世界中で自動運転が急速に進展しており、将来にわたって主流になることが予想されます。自動運転が当たり前になれば、日本のメーカーが抱えるリスクも従来とは大きく変わる、そして増えると考えています。これまでは人為的ミスとして考えられていたものも、今後は自動車メーカーの責任を追及される可能性が格段と高くなります。常にアンテナを張って広く情報を収集し、クライアントに有益なアドバイスができるよう新しい知識を取得する必要があります。

今まさにアメリカの自動車事故における専門家から、完全自動化に向けてどのような新しいリスクが存在するのか、また弁護士から有効な防御策などを学んでいるところです。コロナ禍でリモートでセミナーが実施されるようになったことで、海外のセミナーにも参加しやすくなったことも活かし、国内外問わず社外セミナーに参加したり、チーム内で毎週勉強会を実施し、経験豊富な社員から知識・ノウハウを勉強したりと、チーム皆でクライアントへの付加価値提供に繋がるよう日々邁進しています。当グループではグローバルかつ規模の大きい事案が多いですが、新人時代からそういった事案を任されます。業務の進め方は各個人の裁量に委ねられていますが、困った時は、先輩や上司、周囲の方々が親身になって相談にのってくれる。そんなやりがいと安心感のある、働きがいに溢れた環境だと思っています。