To Be a Good Company

巨大リスクとの対峙
"洋上風力"への挑戦

PROJECT STORY #4

PROFILE

船舶営業部 部長

近藤 洋 Hiroshi Kondo

1990年入社。海底油田・ガス田開発をはじめとする海外プロジェクトの再保険を担当した後、海外石油メジャーを担当。1995年に船舶営業部に異動し石油開発会社を担当。2005年にはイランの巨大油田開発プロジェクトの法務・保険マネジャーに抜擢され、約4年間本邦石油開発会社に出向。その後も船舶営業部にて石油・天然ガス開発に携わる。2014年に洋上風力専門チームを立上げ、現在は営業開発室長としてチームを牽引している。

船舶営業部 営業第3課長

小林 宏章 Hiroaki Kobayashi

1997年入社。関西のコマーシャル営業部でヘリコプター・小型機セスナなどの航空会社を担当。2000年に船舶営業部に異動し、石油開発会社を担当。2003年から4年間上海・北京に駐在。帰国後、船舶営業部で再度石油開発会社を担当した後、2012年から豪州メルボルンに駐在し、大規模石油天然ガス開発プロジェクトに携わる。2017年から船舶営業第3課長として石油開発・洋上風力など海洋開発プロジェクトに関わる専門チームを率いる。

世界が注目する洋上風力の新技術。
未知なるリスクに向かう熱い航海が続く。

再生可能エネルギー技術の柱のひとつとして世界から期待を集める風力発電。中でも、広大な海上の風力を利用した洋上風力発電は、大きなポテンシャルをもつ新技術として注目されている。しかし、実用化に向けた技術開発過程には巨大かつ多様なリスクが存在している。東京海上日動は、洋上リスクのプロとして培ってきたノウハウを最大限に活かし、洋上風力発電の新技術立ち上げに向け、挑戦を続けている。

新エネルギーの可能性を広げるため、巨大リスクに挑戦

洋上風力発電の新技術として注目されているのが浮体式と言われる方式。風車全体を海上に浮かせる画期的な仕組みで、さまざまな海象条件に対応可能な技術として大きな可能性を秘めている。浮体式洋上風力発電技術が実用化されれば、世界中の多くの海域がエネルギーを産むビジネスフィールドとして活用でき、全世界の電力を賄えるほどのポテンシャルがあるとも言われている。日本も熱い視線を送る国のひとつだ。

「現在、福島沖などで展開している実証実験は挑戦の連続です。陸上では発電設備の故障や事故に対してすぐにメーカーや業者のサポートを受けられますが洋上ではそうはいきません。小さな修復でも専用の船舶の手配が必要となり、陸上に比べコストと専門性が求められます。欧州には40年以上操業を続ける北海油田があるため、洋上設備の建設や保守を行うインフラが整っていますが、日本では洋上開発の事例が少なく、それらのインフラの整備も進めていかなければなりません。」と語る近藤は、そのリスクの大きさにも言及する。

「太平洋独特のうねりや海流、陸上では考えられないレベルの強風など、海象条件も非常に大きなリスクです。その中でも日本の海は世界の中でも最もハザードが密集しているエリアといわれ、地震、噴火、津波、台風といった厳しい自然現象による災害に耐えうる技術が必要となります。日本特有の複雑かつ巨大なリスクを熟知している我々リスクのプロとしての真価が問われるのがこの洋上風力プロジェクトだと思います。」(小林)

広大な海のもつリスクは巨大だ。直径100mを優に超える巨大な鉄の構造物を洋上に設置し安定稼働させることには想像を超える困難がつきまとう。

「まさに、膨大な未知のリスクへの挑戦です。そして、そのような未知なるリスクに向き合う時にこそ、我々の存在意義があります。」(近藤)

近藤、小林の所属する船舶営業部の海洋開発チームは、世界の海洋エネルギー開発案件を数多く手がける海洋ガス開発のプロフェッショナル集団だ。創業から100年以上にわたり蓄積してきた海洋リスクの情報やノウハウは現在も進化しており、英国、オランダ、ベルギーなどの10件以上の洋上風力案件も手掛けてきた。豊富な経験を活かし、リスク低減に向けた提案にも尽力している。

「プロジェクトで我々が果たしている役割は、海外案件で蓄積してきた知見を活かして、洋上風力発電の事業化のハードルとなる、あらゆるリスクを低減に向けた提案を行うこと。たとえば、この季節の台風はこうヒットするからこう対策すれば損害を抑えられるとか、海洋ケーブル敷設の際にこんな事故が起こり得るからこのような備えをすべき、といった事故や災害の被害を抑えるための情報を提供しています。新技術の実用化をいち早く成功させ、日本の沖合に大型の風車が連なる。これを実現することが我々のチームの使命だと思っています。」(小林)

プロとしての真価が問われる、未知なるリスクとの対峙

プロジェクトが抱えるリスクは、大きく3つに分類される。設備の建設や操業、オペレーションを妨げる不測の事態を指すコマーシャルリスク、国の政情変化や為替変動等に関連するポリティカルリスク、自然災害、人的ミスによる事故など不可抗力の原因によって被害が生じるフォースマジュールリスクである。

「海洋開発プロジェクトの場合はとくに台風、津波、地震などによるフォースマジュールリスクは非常に大きくなり、かつプロジェクトの関係者は非常に多岐にわたります。商社やエネルギー会社等の事業者、主要設計を担う風車メーカー、部品を納入するサプライヤー、洋上建設を担う建設会社や輸送業者、船舶事業者、さらには、プロジェクト資金を提供するレンダー、政府関係者も経産省、環境省、国交省の3省が関係する。プロジェクトを成功に導くには、直面するあらゆるリスクを的確に把握し、それぞれのプロジェクトの関係者が適切にリスクを分担すること、そして、それぞれのリスクに対して的確なソリューションを提供することが不可欠となります。」と、小林が語るように、リスクの把握と分散がプロジェクトの行方を左右するのだ。

日本の海を知り尽くし、築き上げてきた信頼を基盤に世界へ

長い歴史と豊富な実績のもと、日本の海を知り尽くしている。その信頼こそが東京海上日動の大きな強みである。

「欧州のプレーヤーにとっては、独特のうねりや台風、地震が頻発する遠い日本の海は非常に恐ろしいところと感じるでしょう。しかし、我々には、こちらの海のことなら任せてくれという自負があります。当社には船舶の分野で培ってきた事故の膨大なデータとリスク分析のノウハウが蓄積しています。グローバル保険マーケットにおいても"東京海上日動に任せておけば、的確にリスクを判断してくれる"という確固たる信頼を獲得しています。」(近藤)

一方、小林はすでに世界を視野に入れた動きも進めている。

「現在、台湾の西側に約30箇所の商業化案件が持ち上がっており、当社ではすでに調査を含めて5回くらい現地に入り、政府機関、建設会社、電気事業者との連携を進めています。台湾は気象、海象条件が日本と似通っていますから、日本のプロジェクトで得たノウハウがすぐに展開できます。関係企業と連携を図りながら積極的に進出をしていきたいです。」と、意欲をみなぎらせる。

パリ協定など地球温暖化防止に向けた世界の動きが進む中、大きなポテンシャルをもったクリーンエネルギー技術として、洋上風力開発に乗り出す国はますます増加している。「日本の厳しい気象・海象条件の中で、この新たな技術を実用化に導く経験とそこで得られる信頼は大きなものです。本プロジェクトの成功を通じて、世界の洋上風力発電の東京海上日動の存在感は増していくことでしょう。」(近藤)

日本、そして世界の海に白い風車が輝き、大海原を渡る風が巨大なエネルギーを産み出す、そんな未来を胸に描きながら、近藤、小林は今日もプロジェクトのために邁進している。

※仕事内容および所属部署は取材当時のものとなります。