テクノロジーの力でさらに世のため、
人のためにPROJECT STORY #3
PROFILE
損害サービス業務部
戦略推進チーム 課長代理
小林 佑 Tasuku Kobayashi
2013年入社、損害サービス部門に配属。鹿児島、高知で自動車事故における示談交渉、保険金支払業務等を担当。2018年より、損害サービス業務部・戦略推進チームにて、テクノロジーやAIを活用した新たな価値創出に向けた企画の立案・遂行に携わる。
お客様の『いざ』という時に役立ちたい。
その思いが結実した革新的なサービスの数々。
熊本地震、西日本豪雨、そして令和元年の台風19号。災害大国とも呼ばれる日本だが、近年は大災害の頻度がとくに高くなっている。
お客様にとっての『いざ』という時のために、少しでも迅速に保険金の支払いができないか。そんな思いを実現すべく東京海上日動から新たなソリューションが次々と生まれている。人への想い×テクノロジーの力を原動力にした業界初のチャレンジ。その道のりを、損害サービス業務部の小林が語る。
令和元年の台風19号で大活躍した革新的なシステム
令和元年10月。マリアナ諸島の東海上で発生した台風19号は、日本列島を直撃するや関東地方、甲信地方、東北地方の広範囲に記録的な大雨を降らせ、甚大な被害をもたらした。東京海上日動では、大災害の度に特別災害対策室を編成し、全国から被災地に応援社員を派遣する。台風19号発生時も、東京、千葉、神奈川、仙台に臨時組織を立ち上げ、迅速な保険金支払いの体制を整えた。
「台風19号は被害が甚大かつ広範囲におよび、保険金のご請求件数が多大なものとなりました。件数が多ければ当然保険金の支払い件数も多くなり、全国的に災害応援の体制をつくり、全社員が代理店と一体となって対応しました。被災した方々のために一刻も早く保険金をお支払いし、安心をお届けしたい。それが、損害保険会社である私たちの社会的使命です。」と語る小林。
実は、この時に大活躍したシステムがある。ネット事故連絡システム、スマート保険請求navi、そして水災アプリだ。いずれも迅速な保険金のお支払に繋がる画期的なソリューションである。
「まず、お客様からの被害連絡の際に課題となっていたのが、連絡手段の大半が電話だったことです。大規模自然災害の対応では、電話を始めとする人力によるコミュニケーションだけではキャパシティーに限界があり、結果としてお客様をお待たせしてしまうという課題がありました。これを解消したのがネット事故連絡システム。スマートフォンやPCから、会社HPや当社専用アプリ(モバイルエージェント)といった様々な導線を通じてアクセス可能となり利便性が大幅に向上しました。」
利便性と業務フローを大幅に改善
保険金の迅速な支払いを可能に
被災し不安を抱えるお客様と、事故受付後の担当者とのコミュニケーションをスムーズにしたのがスマート保険請求naviだ。「スマートフォンやPCで被害連絡をすると自動でスマート保険請求naviのURLがお客様へ案内されます。それをクリックするとお客様の被害内容に応じたご請求手続きの流れや補償内容について、動画でご覧いただくことが可能です。お客様は好きなタイミングで内容を確認することができ、お客様満足に繋げると共に、大規模自然災害時においてお客様をお待たせしない態勢の強化が図れていると思います。」
そして、台風19号で合わせて威力を発揮したのが水災アプリ。水災の被害に遭った家屋の保険金算出のサポートを行うアプリである。
「これまでは、紙、鉛筆、電卓、メジャーをもって被災者のお宅に伺い、水位を測り手計算で保険金を算出していました。このアプリの導入で、水位等の必須項目をアプリに入力すると同時に支払保険金が算出され、その場で速やかにお客様にご案内できるようになりました。」と、その革新性を強調する。
その他にも、大規模災害時の業務フローにおいて、カリフォルニアに本社をもつOrbital Insight(オービタルインサイト)社との提携を始めた。人工衛星画像のビッグデータ分析技術に強みを持つ同社と実証実験を繰り返し、AIを活用した新しい保険金支払いスキームの構築を試みる。東京海上日動は、最先端のテクノロジーを持つベンチャー企業、スタートアップ企業ともアライアンスを結び、日々新しい技術を取り入れ、これまでには無い保険の形を模索し続けている。
テクノロジーやツールはあくまで手段
何よりお客様に価値を提供すること
今、あらゆる業界でテクノロジーによる構造変化が起きている。保険業界もインシュアテックと呼ばれる、激しい変革の風が吹いている。小林が中枢を担う戦略推進チームも、テクノロジーを駆使した新たな戦略や企画を立案し、アプリやツールを開発するセクションである。
「テクノロジーで自動化することが目的ではなく、あくまでお客様にいち早く保険金をお届けすることを目指しています。テクノロジーやツールはそのための手段です。お客様の『いざ』という時に役立ちたい。それが損害保険に従事する私たち全員の想いです。」
テクノロジーを活用したお客様のための損害サービスは、今後もますます進化していくことだろう。その萌芽は着々と芽吹いている。
「革新的な損害サービスを実現するためには、保険業のみならず他業種や世界など幅広い分野にも目を向けてアンテナを張っておくことが重要です。」と語る小林。リサーチのために、バルセロナやサンフランシスコに赴き、新しい知見を得ている。
「我々が実現しようとしている損害サービス品質は世界レベルでも引けをとらないということを実感できました。そこで得た情報や技術を日本の市場でどう活用できるか、さまざまな仮説を実証実験により確認していきます。0から1を生み出すクリエイティブな仕事は大変ですが、やりがいも大きいです。今回のアプリやシステムもローンチできた日の喜びは忘れられません。」
小林は2018年10月から現在の部署に異動となり、最初のミッションがネット事故連絡システムとスマート保険請求naviの開発だったという。それまで、鹿児島と高知では主に自動車事故の対応を行ってきただけに、業務の違いに戸惑い、悩み、苦しんだ。しかし、「課題を発見する力と、良質なコミュニケーションをベースにした合意形成の大切さ」を学び、今や日々充実感をみなぎらせている。困難なプロジェクトによって、人が成長する。人の成長によって、プロジェクトが前進する。その繰り返しが、東京海上日動の新しい躍動を生み出している。
※仕事内容および所属部署は取材当時のものとなります。