01
リスクサーベイで新提案の準備

化学メーカーA社を担当する新人・新田と先輩社員・秋元。半年後にむかえるA社の大規模工場の火災保険の更新に向け新たな視点でアプローチを検討していた。

新田 秀一
新入社員(あなた)
秋元 五郎
入社6年目(あなたの先輩)
新田
「まず、A社が抱えていると思われるすべてのリスクを化学メーカーの事故例などから洗い出してみたのですが」
秋元
「そうだな、想定されるリスクをもれなく洗い出すことは重要だな。それで、A社では特にどんなリスクに注意する必要があると思うんだ?」
新田
「やはり火災リスクだと思います。頻度は低いですが、一度事故が発生すると莫大な損害が発生する事が予想されますからね。それからPLリスクも注意が必要だと思います。そこで、A社に対してリスクサーベイやリスクコンサルティングを行ってみたいと思うんですが」
秋元
「どのくらいの規模でやるつもりなんだ?大々的にやるならそれなりの予算が必要になるぞ」
新田
「自由化の環境下では、従来よりもフレキシブルなことができるじゃないですか。A社が保険プログラムのリニューアルを考えているこの時期にこそ、リスクサーベイを徹底的にやっておく必要があるんじゃないかと……」
秋元
「徹底的となると、相当なコストがかかる。リスクサーベイやコンサルティングの重要性を改めてA社に理解してもらわないと」
新田
「最初にきちんとやっておけば、どこに無駄があり、何が必要かがわかります。そうすれば、リスクの実態に沿った効率的で最適な全く新しい保険プログラムを提案できると思うんです」
秋元
「よし、わかった。やってみよう。君はまずA社へ打診をしてくれ。オレは、社内の関係各部に協力を得るための説得に当たる。TRC(グループ会社・東京海上日動リスクコンサルティング)を巻き込んで、大々的なリスクサーベイに取り組もう!!」
新田
「やりましょう!!」
02
工場でリスクサーベイ・バーチャル体験

リスクサーベイの第一歩として、TRCのメンバーとともにチームを組んでA社の工場における火災リスクの調査を行うことになった。
君は今、新田の視点で工場を見ている。
君ならどこをチェックして、何を提案する?
キーワードは「MCOPE(エムコープ)」だ。!

リスク発見

1:天井

天井に電力ケーブルを発見

電力ケーブルが工場中央作業現場の天井の柱と梁に沿って走っていた。火災が起きた場合、火が天井に届くと、電力ケーブルが燃えて、スプリンクラーポンプなどを動かす電力が停止してしまう。 この場合、ケーブルを火災危険のない防火区画内を通すことと、柱や梁を耐火被覆することで、万が一火災が起きた場合の損失を軽減できる。

SAFE

2:敷地内の道路

ひとまず安心!!十分な広さが延焼を防ぐ

敷地内にはいくつかの建物が隣接して建っている。建物と建物の間の通路が狭ければ、どこかで火災・爆発が起きた時にもらい火をしやすい。 延焼を防ぐためにも、また消防車などの進入をスムーズにするためにも、敷地内のレイアウトは要チェック。

リスク発見

3:喫煙所

会社の許可なしの喫煙所だった

オイルが貯蔵されている棚と棚の間の通路に喫煙所を発見。本来、工場は安全な場所に喫煙所を設けるように配慮している。が、この場合はどうやら社員が勝手に喫煙所を設けてしまったようだ。 喫煙所は、可燃物・危険物の貯蔵庫から離れたところに設けることが鉄則。また、喫煙管理規定の作成と、それを遵守させるための従業員教育まで提案していくのが、リスクコンサルティングなのだ。

リスク発見

4:倉庫

危険物倉庫に落とし穴!!

危険物を収納した倉庫は、一見整然としていた。危険物の種類・貯蔵量も明記されていた。ところがよく見ると、建物内の収納棚にベニヤ材、木材が使われており、大量の可燃物も一緒に置かれていた。初歩的だが、見落としやすい落とし穴だった。 危険物を収納した倉庫には可燃物を使用したり置いたりしないこと。小さな配慮が火災による損失を最小限に食いとめることになる。

リスク発見

5:工場外観

階と階の間隔が狭すぎる!!

階と階の間隔が狭いと、火災が起きた時の延焼の原因になる。 予算があれば、建て直しも提案できるが、予算がない場合は、窓にひさしを作る、階と階との間に防火床を入れるなど、改善策を考える必要がある。

リスク発見

6:製品棚

耐震はOKだけど、近くに可燃物が

薬品の置かれている棚は、耐震工事がなされていた。薬品そのものに発火の危険がある以上、耐震工事は必要不可欠だからだ。OK……かと思ったら、薬品棚のすぐ近くに、従業員用の新しいユニフォームを梱包したダンボールが積まれていた。発火の可能性がある薬品と可燃物を隣接して置くのは危険。置き場所を分ける必要がある。

SAFE

7:スプリンクラー

ひとまず安心!!メンテナンスを大切に

要所、要所にスプリンクラーが設置してある。管理責任者によれば「メンテナンスは十分にしてある」とのこと。試しに一つを動かしてみたらきちんと機能した。 スプリンクラーがあっても、いざという時に機能しなければ意味がない。メンテナンスを十分に実施することが大切だ。

03
ビットで戦い、シェアを広げる

リスクサーベイ・リスクコンサルティングの結果は、レポートとして報告された。レポートでは、工場の火災リスク及び地震リスクについてさまざまな角度から分析がなされている。
また、それぞれのリスクについての具体的な対応策も記されており、A社も充分に満足している様子であった。

秋元
「A社が、工場の火災保険の更新時期にビットを行うと言ってきたぞ!」
新田
「ええ?何でですか!当社のサーベイレポートをあんなに喜んでくれたじゃないですか?今さらビットで他社も参入させるなんて納得いかないっスよ」
秋元
「いや、むしろ、こちらにしてみればチャンスだ。何しろオレたちは、サーベイで情報をたっぷりつかんでいるんだぞ。長年大きくは変わらなかった既存シェアが、ビットに勝つことで大きく変わるかもしれないんだ。先方だって『ビットでベストの提案を採用した』と言えばシェア変更の大義名分も立つ」
新田
「A社における当社のシェアを伸ばす、またとないチャンスってわけですね」
秋元
「企画力が決め手になる。早速、火災保険のビットの戦略を練ろう。期限は1カ月しかないからな」
新田
「わかりました! 早速、関係部署のメンバー集めて、アイディア出しから始めます」

04
「ディスカウント」より「企画勝負」

ビットから帰ってきた新田は、やや興奮気味で先輩に報告中

新田
「バッチリですよ、秋元先輩。手応え十分でした」
秋元
「他社はどうだった?」
新田
「はっきりとは情報収集できませんでしたが、どうやらディスカウント勝負に出てきたようです。某社は保険料を大幅にディスカウントしてきたらしいです」
秋元
「うちの保険料は決して安くない。大丈夫なのか?」
新田
「先方の反応がすごく良かったんです。保険料は確かに昨年と同じだけど、先方が言ってました。
『無駄を省き、必要な部分を手厚くしてある。まさにこういうものが欲しかった』って」
秋元
「事前サーベイで、リスクの洗い出しを行い、真にクライアントに喜んでもらえる最適な保険プログラムを目指して、早めに準備をしていたのが功を奏したな」
新田
「ここまで先方の実情とニーズをわかっているのは、うちだけでしたからね!PMLを把握していれば、的確で斬新な提案ができるもんなんですね」
秋元
「それこそがウチの強み。本領発揮の部分だ。覚えておけよ」
新田
「はい!!」

05
1社の保険で関連会社までカバー
火災保険ビットの成功を喜ぶ2人は、すぐ次の提案への準備に入った。分野はビジネスインタラプション、企業の利益を守るための提案だ。
新田
「A社は大手だから、関連会社や取引先が多く、どこかひとつでトラブルが発生すると、A社への影響も大きいんですよね」
秋元
「そこで、何か提案できないか?」
新田
「実は考えてるんです。クライアントに何かがあったときに利益を補償しましょう、という保険です。ただ従来の利益保険とは違います。例えばA社に材料を納品するX社が罹災したとします。すると、A社もX社も仕事がストップしますよね。その場合に発生するA社とX社の両方の損失をカバーできるような保険を考えているんです」
秋元
「その考えは新しいな。仕事が止まればX社だけでなく、関係各社も損失を被る可能性があるからな。トータルに損失をカバーできる保険があれば、先方も興味を示してくれるだろう」
新田
「あ……。でも、そうしたら、A社だけじゃなく、何十社と契約しなきゃならないんだ。大変な仕事になりますね」
秋元
「ポイントはそこだ。A社1社だけの契約で、すべてがカバーできるような斬新な保険を考えるべきだね」
新田
「罹災した場合、復旧費用も保険で対応しようと思うんですが、無理でしょうか」
秋元
「その方が万全だな。よし、まずは関連会社すべての損益計算書やA社との取引状況を調べてみてくれ。新しいビジネスインタラプションカバーを作り出そう」
新田
「はい!!」

06
従業員の所得補償も新発想で
斬新な発想と行動力で全く新しいビジネスインタラプションカバーを提供した結果、100%のシェアを獲得することに成功。次は、従業員がけがなどによって、就業できなくなった場合、その間の所得を補償する保険について、戦略を練り始めた。長期障害所得補償保険の提案である。
秋元
「先日、提案した長期障害所得補償保険も、またビットになるらしい」
新田
「大丈夫ですよね。だって、僕らは既にA社さんの給与体系も調べ終わってますし、現状の保険のどこに不満があるかもヒアリングしてますもん」
秋元
「その結果、初めの40日は休んでいても有給休暇扱いになるから、保険がなくても困らないことがわかった」
新田
「そう。本当に困るのは、休みの長さによって給与が徐々に減ってきてからなんですよ。だから我々は、逆に補償金額が徐々に増えていくような商品を考えているんです」
秋元
「それでいけそうか?」
新田
「従業員の方のニーズにも合ってるし、長く補償ができるので、絶対に大丈夫です」
秋元
「よし、じゃあ、細かな部分を詰めてくれ」
新田
「ハイ!!」

07
社有車の保険を狙え
事前のアドバンテージ(早期の情報収集とニーズ把握)が財産となり、長期障害所得補償保険ビットにも勝利を収めた。今度は営業所戦略だ。
秋元
「A社の営業拠点において、現在うちは他社に遅れを取っている。何とかもっと深く食い込みたいものだな」
新田
「営業所って、コンピュータで情報や売上管理をしてますよね。ネットワークがダウンした時の損失に備えてネットワーク総合保険を提案したいと思います」
秋元
「そうだな。ネットワークに関するリスクは、各企業によってさまざまだから、しっかりと状況を把握した上で、最適なプログラムを提案すると良いな。 それともう一つ、うちが今力をいれている自動車保険を大々的に提案しよう」
新田
「化学メーカーなのに? 自動車なんですか?」
秋元
「営業が使う社有車の保険だよ。全国でみれば数千台はあるだろう。それをすべてうちのTAPに切り替えてもらうんだ」
新田
「なるほど。企業に保険を提案するときにはさまざまな視点から見ていかないとダメなんですね」
秋元
「よし、じゃあ、細かな部分を詰めてくれ。早速取りかかろう」
新田
「わかりました!!」

08
エンディング

徹底的なリスクサーベイから着手した2人は、ビットでも連勝し、 クライアントの信頼を勝ち取り、満足のいく成果を残した。

新田
「秋元さん、やっぱり企画力・発想力がモノを言うんですね」
秋元
「それはそうだ。でも、今回の最大の要因は、リスクサーベイという当社の強みを活かして、他社が動き始める前に、変化を先取りして真っ先に動き出したということなんだ」
新田
「ビットで勝つ自信はありましたけれど、正直、大幅なディスカウントにA社の心が揺れてしまうかも、という心配もあって」
秋元
「これからは単純な価格勝負にはならないだろう。だからますます仕事は面白くなってくる。新田クンも今回の一連の流れで、かなり進歩したね。お疲れさま」
新田
「ありがとうございます。むちゃくちゃ大変だったけど、面白かったです!!」
秋元
「ここで覚えたことを、忘れるんじゃないぞ、ムダにするんじゃないぞ」
新田
「わかってますって。きちんと復習しておきます」

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