仕事の現場
過酷な東日本大震災への対応、
真にお客様に喜ばれる最高品質の損害サービスを提供する。
西嶋良
損害サービス部門
(08年入社)
<取材当時の内容です>
私が所属する課は、自動車保険以外の火災保険・賠償責任保険・第三分野商品に関する事故や損害状況の把握や示談交渉、お支払いなどの損害サービスを担当しています。火災の他、盗難や水漏れ、お客様が日常生活の中で第三者に怪我をさせてしまったといった事案を主に扱っています。課にはお客様と直接コンタクトをとる担当者が20名ほどおり、私はKP(キーパーソン)の一人として担当者の指導・育成にあたっています。KPがカバーする範囲は広く、担当者からの相談や稟議に対する判断、責任者としての苦情処理まで含まれます。私自身が担当者として直接お客様にお会いする機会は少ないのですが、一部の高額の事案、訴訟となった事案、苦情事案では、自ら担当者となって面談に赴き、解決にあたります。お客様が訴訟を起こすなど、こじれてしまった場合は、まず私という人間を信頼して頂くことが大切なので、お客様の考えや心情をじっくり伺うことからスタートし、誠意をもって解決していきます。自分の手に余る専門的な課題に直面したときは、弁護士・公認会計士といったプロフェッショナルの知恵も借りながら、上司や先輩とも相談しつつ、チームで解決していきます。担当者には他社からの出向者や他社を早期に退職されて入社された方もおり、自分の父親より年齢も経験も上の人たちをマネジメントしていかなければなりません。ですから、1年目は担当者を上回る知識を身に付けようと、商品の詳細や約款などを必死に勉強しました。幸い、大学時代は法律を勉強していたので、法律の知識やそこで身に付けた論理的な思考に随分助けられましたし、今でも役立っています。
担当者のマネジメントや難事案の解決の他に、もう一つ、KPの重要な任務となっているのが広域災害への対応で中核的な役割を担うことです。入社3年目の3月11日に起きた東日本大震災では、当日の夕方から直ちに「対策室」の立ち上げに参画し、設置する場所や机・椅子といったハードから応援メンバーの手配といったソフトの両面にわたり手配のために動き始めました。私たちの部署だけでは対応しきれないことは明白だったので、全国の支社・支店からも人の応援をもらって体制づくりを行い、役割を考えて割り振りました。私たちの役割は広域災害が起きた際のマネジメント体制を確立することでしたので、地震が起きてからの1、2週間はその部分に集中して取り組みました。広域災害時のアクションプランは策定されていたのですが、東日本大震災はその想定をはるかに上回る規模だったので、まさに手探りの状態でした。地震発生後の翌々日の日曜日には新聞に地震対応専用のコールセンターの連絡先を発表し、それ以降は暫くは電話が鳴りっぱなしの状態になりました。私の所属する部では東京のお客様が所有する全国の不動産などの事案も抱えていましたし、東京や千葉でもひび割れや一部倒壊など損害保険の対象になる家屋の損傷が多数あり、受け付けたものだけでも数万件、全国からの応援を受けても想定を超える問い合わせがありました。私やチームメンバーは「ここで役に立たなければ、いつ役に立つんだ」という使命感にかられ、どんなに大変でもやるしかないと腹を括りました。KPとして心がけたのは、どんなに過酷な状況でも、担当者に弱みを見せないということ。責任者が混乱しているように見えるとチーム全体の統制がとれなくなってしまうので、少なくとも自分だけは冷静に、今やるべきことは何なのか、優先順位は何なのかを考えながら、役割と責任をしっかり認識してやり抜こうと考えたのです。
実は東日本大震災から9ヵ月経った今でも、関係する事案を週に何百件も受け付けています。そういう意味で、私たちの中でも震災はまだ終わっていないのですが、この経験によって損害保険に携わる者としての使命感を更に強く再認識し、私の中のスイッチが入ったように思います。また、一緒に頑張ってくれた仲間からも多くのものを学ぶことができました。例えば、私はチームの責任者として担当者に仕事を割り振っていましたが、尋常でない量のうえに、さらに重ねて業務の依頼をしなければならず、心苦しい思いをしていました。そんなとき、ある担当者から「西嶋さんの頼みなら、喜んでやりましょう」と声をかけられたのです。心が折れそうな時だったので、「信頼されているんだな」と感じさせてくれたその言葉がどれほど励みになったかしれません。
私は日頃から「信頼関係の構築」「人間力」「行動力」の3つを仕事の軸と考え、自ら実践するよう努力してきました。就職活動でよく「人間力」が大事と言われますが、その意味が本当にわかったのは、当社で働くようになってからです。保険はカタチのない商品ですから、サービスを提供する人の「人間力」が伴わないと、同じ金額の保険金でも「生きた保険金」になりません。「人間力」とは結局、どれだけ深く「お客様の立場に立てるか」「お客様のために何ができるか考えられるか」だと思うのです。
将来の夢は真にお客様に喜ばれる損害サービスを目指して、品質の向上に取り組むことです。保険金を速やかにお支払いすることは当然として、担当者一人ひとりの能力の向上、代理店支援、ロスプリベンション、広域災害時の安定的業務遂行等、改善の余地はまだまだあると感じています。その意味で、いつか営業や商品開発に携わってみたいと思っています。東京海上日動に入社して一番良かったのは、自分自身の成長が日々感じられること。これからも自身の業務領域をどんどん拡大させていきたいですし、そのための「向上心」は誰にも負けないものを持っていたいと思います。
西嶋が所属している部門は、首都圏の損害保険の損害や事故状況の把握・示談交渉・支払いなどを担当している。その中で西嶋が所属する課は、自動車保険以外の火災保険・賠償責任保険・第三分野保険に携わっており、個人向けリテール分野のお客様ばかりでなく、法人顧客が多いのが特徴だ。
TOPICS:記憶に残る言葉
「私よりももっと大変な思いをされている人たちに時間を使ってください」
東日本大震災で被災されたお客様から頂いた言葉です。首都圏でも甚大な被害が出た地域もありました。それでも、私だけでなく、たくさんの当社社員がこのようなお言葉を何人ものお客様からいただき、心から感動したのを覚えています。このような素晴らしいお客様との出会いも当社で働くことの喜びのひとつです。