増大するグローバルリスクに立ち向かい、企業の経営力強化をサポートする 増大するグローバルリスクに立ち向かい、企業の経営力強化をサポートする

佐井 倭裕 Kazuhiro Sai

コマーシャル営業部門
2016年入社 工学系研究科修了

日本の多くのグローバル企業は世界のマーケットで揺るぎないプレゼンスを確立することを目指して戦っている。私たちのミッションは、リスクのプロとしての確固たるノウハウと熱い想いをもって、これらの企業のグローバルへの挑戦を支えること。世界経済の一端を担うものという自覚をもちながら、今後も広い視野で研鑽を重ねていきたい。

国境を越えた企業活動を取り巻くリスクは多様化、複雑化している 国境を越えた企業活動を取り巻くリスクは多様化、複雑化している

私の所属する本店営業第5部海外課は日本を代表する電機メーカーをクライアントとし、展開するグローバルビジネスに対して、保険をはじめとする様々なソリューションの提供を行っています。国際間物流をカバーする貨物保険や、海外での工場建設や製造を支える工事保険、火災保険、また事故を未然に防止するためのロスプリベンション提案、クライアントの海外現地法人やM&A先を含めたグローバルベースでのリスクマネジメント等、ソリューションの種類は多岐に渡ります。
経済のグローバル化の進展とともに、国境を越えた企業活動を取り巻くリスクは日々変化し、多様化、複雑化しています。2016年の米国での大型ハリケーン等、自然災害の脅威は技術が進歩した現在でも予測が難しく、クライアントのビジネスを日々脅かす大きなリスクとなっています。また、最近ではビッグデータやAIの活用等、IT技術の進展が目覚ましい一方で、サイバーリスク等の新しい巨大なリスクも出現しています。私の仕事は、クライアントがこれらの増大するリスクに備えながら、ビジョンに基づいたグローバルビジネスとガバナンスを実現していく支援を行うことです。ビジネスの動脈となる国内外の調達・販売物流のみならず、M&Aによるビジネスの多角化、工場や販売拠点の新設・運営に伴うリスクマネジメントなど、多面的な業務を担っています。また、近年増加している大規模自然災害に備えたリスクマネジメントでは、サプライチェーンの断絶による営業利益損失など、グローバル化により、一層複雑化しているバリューチェーンが孕むリスクに対してサポートを行っています。
クライアントの事業規模が大きく、新聞やメディアで自分が関わっているビジネスを見かけることも少なくなく、日本の経済の一端を担っているという感覚は日々もっています。海外のプラント建設に関する記事や世界各地の災害の情報などはとくに関心をもって見ています。

自然災害による巨額な損失のリスクからクライアントをお守りしたい 自然災害による巨額な損失のリスクからクライアントをお守りしたい

自然災害による巨額な損失のリスクからクライアントをお守りしたい 自然災害による巨額な損失のリスクからクライアントをお守りしたい

入社2年目にタイのバリューチェーンを視察した経験は、リスクに対するソリューションの重要性を肌で感じる貴重な機会になりました。クライアントの海外主要工場であるタイの拠点は2011年の洪水で大きな被害を受けました。このような大規模災害では、自社の工場や人員が罹災するだけではなく、仕入先や顧客も罹災し、生産・販売機能が長期的に麻痺状態に陥ります。とくにタイでは今後も洪水発生の恐れがあるため、再び被害に遭い、巨額な利益損失を受けるリスクからクライアントをお守りしたいと考えていました。しかし、洪水が多発する恐れのあるエリアは保険料が高額になり、一般的な保険で十分な補償を確保することは困難です。そこでタイ工場周辺でTRC(東京海上リスクコンサルティング)による洪水特化型のリスクサーベイを実施した上で、クライアントの防災対策の有効性を数値化したり、当社損害部と会計事務所によって仮保険金査定を行ったりと、社内外の多くの専門職に協力を仰ぎながらプロジェクトを進めていきました。その結果、なんとか保険プログラムの構築に成功し、クライアントに提案内容が評価され喜んでいただけました。 タイの生産現場や仕入れ先、周辺の堤防などに自ら足を運び、多くの関係者の協力を得てプロジェクトのミッションを遂行したことは私にとって大きな自信になりました。

スタートアップ企業との協業で地域や社会の課題に挑む スタートアップ企業との協業で地域や社会の課題に挑む

スタートアップ企業との協業で地域や社会の課題に挑む スタートアップ企業との協業で地域や社会の課題に挑む

大手企業のグローバルリスクマネジメントに携わる一方で、さまざまな分野のスタートアップ企業の新規開拓にも取り組んでいます。自分の興味のある企業を発掘、訪問し、保険という枠にとらわれずに、新規ビジネスの創出や企業と企業のマッチングなどの機会を模索しています。新技術、オープンイノベーションの実現により発生する社会課題に挑むことを私なりの目標としています。起業家の方を訪問し、成長事業についての熱い想いや経営ビジョンを共有することは、自分にとって大きな刺激になっています。また、若手でも、新たな発想を期待され、提案の機会が与えられています。様々な規模、業種に跨る企業への提案はプロとして非常に鍛えられる場となっており、先輩方がフォローをしてくださる体制もあるので、このような環境にとても感謝しています。
今後、実現したいことは大きく二つあります。一つめは東京海上グループを優れたグローバル企業に成長させること、二つめは日本の各地を元気にすることです。
業務を通して、お客様のグローバルビジネスをお手伝いさせていただく立場になり、グローバル企業の目指す姿について、よく考えるようになりました。海外に拠点を作った、あるいは、海外企業を買収してグループ傘下に入れたらグローバル企業といえるのか。その後は、異なる背景をもつ日本の会社と現地の会社をどう経営していくかが大きな課題となり、グループで経営統合ができて初めてグローバル企業なのか。さらにその先は、日本のHQと各国のリージョンとしてのマネジメント体制が整い、グローバルガバナンスとローカライズが共にできている状態であれば本物のグローバルなのか。多くの企業は、このような過程のどこかにあって、それぞれの考えのもとに経営強化に取り組んでいます。クライアントの課題に日々、向き合う中で、東京海上日動もまさにその過程にある企業のひとつだと感じるようになりました。私は、当社においても、クライアントにおいても、グローバル企業が体制を確立し、成長していく過程で役に立てる、ノウハウと想いをもった人間になりたいと思っています。
二つめは、土木工学専攻だった私には、どこかで日本のまちづくりに関わりたいという想いがあります。近年、企業との協業やオープンイノベーションの進行によって、これまで解決できなかった地域や社会の課題が解決する例がみられるようになっています。私も当社のノウハウやリソースをいかし、社会課題の解決や日本を元気にする人たちの挑戦を支えていきたいという夢をもっています。現在、取り組んでいるスタートアップ企業の新規開拓や大手メーカーへのソリューション提供も、将来的には夢の実現につながるのではという想いをもって、日々、力を注いでいます。